自然観察会 -鬼女蘭と桜 -
週に1回行われる自然観察会だが7月は雨が続き、3回の自然観察会が中止となったため久しぶりの開催となった。7月28日に小雨振る中で行われたが長梅雨のお陰で植物の生育も早く、サギソウの群生やカナコユリ、キツネノカミソリなど見どころが満載の観察会であった。印象に残ったガイドの椎名豊勝先生(日本樹木医会前会長)の話を2つ
鬼女蘭と2,000㎞を旅するアサギマダラ
キジョラン(鬼女蘭)の近くに1匹の蝶が舞っていた。講師の椎名先生があわやアサギマダラかと追いかけた。実際は、アカボシゴマダラのようであったが非常に残念そうだった。昭和記念公園では、アサギマダラは、まだ発見されていないが見つかれば大ニュースだという。捕獲できればマーキングをして再び放し、移動距離を測ることが蝶マニアにとってはこたえられないらしい。アサギマダラの食草であるキジョランの葉に食べ跡(食痕)があれば是非、報告して欲しいと何度も言われていた。調べてみると和歌山県でマーキングされたアサギマダラが高知県を経て2,500㎞離れた香港で発見されたという記録が残っている。アサギマダラは、長い移動の中で卵を産み、更に孵化した子も旅にでるという。一代ではないのだ。世代を超えて各々が大遠征を成し遂げるらしい。
参考:アサキマダラの神秘
桜の老木とクローン
昭和記念公園には、樹齢80年を超えると思われる桜が何本も植えられている。椎名先生の説明によれば桜の太い枝から何本もの若い枝が伸び、地面を這って再び地面から成長し根を張り大木となって絡み合うのだという。日本三大桜といわれる樹齢1,000年の福島県にある三春の滝桜(枝垂れ桜)などは、一つの幹から出来たものでなく同じ遺伝子を持つ幹(クローン)がからまって見事な大桜を形成しているということだ。昭和記念公園の桜の老木の幹の割れ目からも何本もの若い枝が伸びているのが観察できた。この赤々とした若い枝もいつの日か大木となるのだろうか。永遠に命は継がれていくのだろうか。