国営昭和記念公園自然観察ツアー -大けやきと自然治癒力ー

2020.9.1 国営昭和記念公園自然観察会

今回の見所は、クズ(葛)、カマノツカ(鎌柄)、ミソハギ(禊萩)、シオン(紫菀)、サネカズラ(実葛・美男葛)、ウラジロモミ(裏白樅)、ツルニンジン(蔓人参)、オトコエシ(男郎花)etc …

“みんなの原っぱ”での大けやきの下で話されたガイドの椎名豊勝先生(日本樹木医会前会長)の話を1つ紹介。

 

大けやきと自然治癒力そして生命再生産

国営昭和記念公園の象徴ともいうべき「みんなの原っぱ」に立つ“大けやき”。大正11(1922)年の立川飛行場開設時からあったという。樹齢100年を超えるというが定かでない。下の方の枝は、地面に届きそうである。椎名豊勝先生によれば伸びた枝は、やがてその重みで枝が折れて落ちるという。折れる前にあえて剪定をする場合もある。折れて落ちた枝が地面に根を張り、同じDNAをもった若々しいクローンが再生することもあるとの事である。折れた個所は、最初は、回りが盛り上がり中心部がむき出しのまま窪んだ形になる。時間が経つにつれ徐々に木で覆われはじめ幹の中に折れた部分が隠れてしまう。たくましき生命力、たくましき自然治癒力。生きることへの執念を感じることができる。

立川市の木:けやき

“立川市の木”は、“けやき”である。市内の周囲2メートルを超える樹木では、けやきが圧倒的に多い※1。立川の南口・柴崎町は、かつては南北にけやき並木が続いていたがモノレールの開通に伴いバッサリと切られて、今は跡形もない。古くからの大屋敷の庭や神社仏閣に“けやき”が点在している状況だ。北口については、砂川あたりでは、五日市街道沿いに今もけやきの大樹が続いている。特に立川農協前バス停の屋敷内にある大欅は、見応えがある。

立川の最も古いけやきは柴崎町の「八幡神社大欅」である。建長4(1252)年頃八幡神社創建時に植えられたと伝えられている。樹齢750年を超えることになる。周囲6メートル、市の天然記念物に指定されている。しかし、台風や落雷により上部は折れ、根元は無残にもコンクリートで固められている。それでも息も絶え絶えに生きている。

100年を越える老木も手入れ次第では、更に200年も300年、否1000年までも生き続けることができる。歴史を刻み、先人より受け継がれてきた大樹は、市民共有の財産ともいえる。郷土立川に点在する大樹を守りたいものだ。緑を守ることは、単に景観を守るだけでなく生命尊重の社会を築くことにも通じるのではないだろうか。

参考:立川市文化財調査報告Ⅴ「立川の老樹・名木」(昭和61年発行 立川市教育委員会)
※1 同書によれば市内の大樹(周囲2m)の1位がケヤキ248本で2位はイチョウ13本、シラカシ12本と続く。圧倒的にケヤキが多い(昭和59(1984)年度調査)

 

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